本文へスキップ

RollsRoyce Bentley Specialist

株式会社シーザートレーディング
TEL.
042-480-2222 (
営業時間10:00~20:00)
東京都調布市西つつじヶ丘1-58-12

BENTLEYHEADLINE

 
 AUTOMAKER BENTLEY 
  MODEL S 1
 


 
  YEAR 1956
  EXTERIOR Ivory-Met/Sliver-Met


(アイボリー・メタリック&シルバー・メタリック・ コンビカラー)
  INTERIOR Burgundy・Leather


(バーガンディ・レザー)
  PRICE \ ASK 
  CHASSIS/NO'

B147DE

  AMMENITIES



本国仕様 右ハンドル (国内 2006年登録)






直列6気筒 OHV 4.9L(4887cc) 4速コラムAT




スペック:必要にして十分





全長:538cm



全幅:190cm



全高:162cm



車重:1970kg



定員:6人





装備:





フロント・ピクニックテーブル、リア・ピクニック・テーブル、





*パワーステアリング(オプション) 



*クーラー(コンプレッサー国産サンデン製 )



*オルタネーター(直流から交流に)



*大型電動ファン



*トランジスター・イグニッション (ナガイ電子製)



*CD・オーディオ (パナソニック)






稀に見る超極上車!



車検:2年付き渡し



 
  COMMENT






「S1」





ロールス・ロイス製 伝統の直列6気筒エンジンを積む最後のモデル「S1」。




1955年〜1959年の間に作られた「クラウド1」のベントレー版である。





今回は、「S1」の話に絞ろう。




この車の後と先では 歴史が違う。




それは、このモデルが、直列6気筒エンジンだということ、、




この後は、全て「V8」エンジンとなる。




そして、この直6こそが、このモデルの最大の魅力なのだ。




このエンジンの始祖は、1922年発売のロールス・ロイス「20HP」に積まれた



直6 OHV 3127ccエンジンにまで さかのぼることになる。




そう、つまりは、我らが、サー「ヘンリー・ロイス」によって設計された




エンジンの最終進化系が、「S1」エンジンということ!




進化の歴史を年表で追ってみよう。






*ロールス・ロイス       *ベントレー





1922年 「20HP」   3127cc



1929年 「20/25」   3669cc  1931年 「3.5L」



1936年 「25/30」   4257cc  1936年 「4.25L」



1938年 「レイス」   4257cc   1939年 「マーク5」




戦後



1946年 「シルバーレイス」&「マーク6」 4257cc



1949年 「シルバードーン」        4257cc



1951年 「シルバーレイス」&「マーク6」  4566cc



1954年 「シルバーレイス」&「Rタイプ」  4887cc



1955年  「クラウド1」&「S1」     4887cc



1959年  直列6気筒 生産終了






*厳密には、38年登場の「レイス」と「マーク5」以降に積まれた直6エンジン





 が、当「S1」と ほとんど同じもの。






ここで注目したいのは、1954年登場の「4887cc」エンジン、、



このエンジンこそ、戦後ベントレーの最高傑作「Rタイプ・コンチネンタル」



にも積まれた当時の世界最高品質、世界最高速(2ドア・4座クーペでは)



を誇った伝説エンジン。




このエンジンが、ほぼ丸々「S1」に積まれているのだ。



「Rタイプ・コンチ」のHJマリナー・ファーストバックは、有に1億円を超え



る価格となったが、当「S1」は、数百万円で買える、、話がおかしい。




ボディの「カタチ」が少々異なるだけで、価格が異なりすぎる。



「S1」の魅了は、まさに ここにある。 都合のよいモデル。



ただ、「S1」と「Rタイプ・コンチ」だと街乗り用に圧縮比などを替え、




ディチェーンされている上、充実装備で車重も増しているから、最高速は少々




劣る、、それでも 





最高速一覧(実測)



*「マーク6」   :160km


 
*「Rタイプ」   :170km



*「Rタイプ・コンチ」:188km



*「S1」      :162km (170km出たいう雑誌もあり)



*「S1コンチ」   :193km





この数字の通り、優雅に走りたい人は、「スタンダード」モデルを、、




飛ばしたい人は、「コンチネンタル」モデルを となるが、その価格は、




「S1コンチ」といえど、尋常ではない金額となる。





どちらにせよ、美しきアルミヘッドを持つ「サイレント・スポーツカー」と




評された直列6気筒エンジン・ファイナルモデルが、この「S1」と「クラウ




ド1」 本来の価値は、現在評価額を大きく上回る。




また このエンジンはロールスお得意の 超の付く過剰品質で、その頑丈さは




製造されてから60年経過した 当個体に乗って見れば一目瞭然、、




当時と変わらぬポテンシャルを誇る。












当「S1」のお薦めポイントは、その「乗りやすさ」にもある。





ロールス社が、「オートマ」をオプション追加したのは、1952年のこと、、




これより、以前モデルは、全て「マニュアル」、そしてUS仕様を除けば、




右ハンドルの右シフト、これには慣れが必要となる。




更に、「パワステ」をオプション追加したのが、1956年4月のこと、、




以前モデルは、全て「オモステ」




当「S1」は、「オートマ」&「パワステ」付きだ。




サンデンのクーラーも付いて、現代と変わらぬ運転ができる。




この「S1」を境に「壁」があるのだ。



これ以上 古いモデルに乗るなら、マニュアル操作の練習と 筋トレが必要



となるから。












第二次大戦以前、ロールス社(ベントレーは1931年に買収)は、自社製ボディ



は作っておらず、エンジンとシャーシを提供している機械屋にすぎなかった。




ボディを作っていたのは、「コーチビルダー」だ。




英国には、名が残るコーチビルダーだけでも、300社以上存在していた。




その中で、ロールス&ベントレー級の頂点モデルをコーチビルドできたのは、




凄腕を持つ上位20社ほどでしかない。





そうして、「住み分け」ができていたわけだが、ロールス社は、戦後、調子に



乗って自社製ボディをも手懸けるようになる。




それをコーチビルド・モデルと分け「スタンダード・スチール・サルーン」と



呼ぶ。スチールの意味合いは、開閉部(アルミ)以外は、スチール製だった



からである。*コーチビルド・モデルは、多くの場合「総アルミ」。




無論、複雑なボディ製作は行うことができず、そちらは、英国トップ・コーチ



ビルダー「HJマリナー」と「パークウォード」の2社を買収し(MPW)、



1961年より全てお任せとなる。(2ドア・モデルとリムジンは、全て)





ロールス社が戦後初めて発売した「スタンダード・モデル」は、




1946年、ベントレーの「マーク6」というモデルで、ロールス版モデル




「ドーン」は、それに遅れること3年、、1949年のこと。



これは、ベントレー・ブランドの方で まず「実験」したのである。




そう、この段階では、「ベントレー」は、「ロールス」の格下ブランドという



扱いだった。




そんなベントレーが、結果的に、より多くの後世に残る名車を生み出すことに



なろうとは、、、誰が想像しただろう。








ロールスの「ドーン」、ベントレーの「マーク6」*1952年から、トランクを




広くして「Rタイプ」となり、その新型後継モデルが、



1955年に発売される。




ロールス「シルバー・クラウド1」と 当ベントレー「S1」である。






1955年〜59年に生産




「54年モデル・Rタイプ」と同じ、直6・4887ccのエンジンを積んだ車では



あったが、ボディデザインの大幅な変更以外にも、フレームの強化、及び



機関系には、大幅な改良が加えられロールス社・直6モデルの集大成、、



前述の通り、最後の直6エンジンを積んだモデルとなった。






「クラウド」&「S」のデザインは、今観ても、秀逸だが、なぜ、こんな優れ



たデザインが機械屋ロールス社にできたのか?



その答えは簡単、




優れたコーチビルダーのデザインの好い所取りして(ぱくった)書いたのだ。




「クラウド」と好く似たデザインは、「HJマリナー」や「フリーストン・



ウェッブ」「パークウォード」などで「クラウド」登場以前から書かれていた



、とはいえ、




忘れてはならない人物がいる。




「ジョン・ブラッチリー」




当「S1」のチーフデザイナーは、彼だ。







1913年 生まれ



1935年より、名門コーチビルダー「ガーニー・ナッティング」入社



36年からは、チーフデザイナーに。




その後、1940年、ロールス社に入社



43年からスタイリング部門に入り、なんと55年から69年の間、「チーフデザイ



ナー」を務める。




彼が、手がけた作品が、すごい。




「マーク6」、「シルバードーン」、「Rタイプ」、「クラウド」、「S」




「シャドウ」、しかも、「コーニッシュ」デザインもMPWと合作ながら、




彼の作品とされている。




また、BMWの買収された後のロールス社における最初のモデル「NEWファ



ンタム」デザインにもBMWから要請され、多くの知恵を与えたという。




2008年2月16日、帰らぬ人となるが、彼の功績は、今後、益々評価されること



だろう。




今はまだ「コンチネンタル」モデルとは、かけ離れた評価しかされていない



「スタンダード」モデルであるが、おそらく、近い将来「ジョン・ブラッチ



リー」作品モデルは 再評価されるに違いない。 







「シリーズ1」




ロールス版とベントレー版の生産台数が興味深い。




「クラウド1」の生産台数は「2238台」(+ロングホイール:122台)



「S1」の   生産台数は「3072台」(+ロングホイール:35台)





どうだ! ベントレー「S1」の勝利!




この丸っこいボディには、ベントレー「グリル」の方が似合っていた、結果で



あろう。



もっとも、「ベントレー」が「ロールス」の生産台数を超えるのは、「S1」



で終わり、、再び、追い越すのは、スーパースター SZ系「ターボR」の



登場、30年先まで持つしかなかった。





このウーパールーパーのような顔 一つ目ヘッドライトは、




1959年9月発売、新設計、総アルミ合金製V8・6230ccエンジンを積ん




だ「クラウドU」&「SU」にも引き継がれる。



この時点からロールス社のエンジンは、このV8 一種類のみとなり、




これから、また別の物語が始まっていく。 それは、また別のモデルの時に。











「クラウド系モデル」は、ロールス社 最後のシャーシ&ボディの車




(その後はモノコック・ボディ)で、「クラシック・ロールス&ベントレー」




と呼んでよいモデルは、ここまでであろう。




そういう意味では、クラシック・ロールスの入門車にして、最高レベル




の満足感を味あわせてくれる理想的なモデルと言える。




機関系も度肝を抜く頑丈さを持ち、正しい整備で、現代の交通事情の中でも



普通に乗れる、、どころか、速い。



しかも、その機関系は(専門メカニックにとっては)、シンプル構造で、



整備性も好く、パーツで入手できないものなど無し、維持費も安価とくる。



もっとも、この事実を体感できる方は、正しい個体を購入した方のみ限定。











当個体の お話





1956年モデル




本国仕様 右ハンドル




平成18年(2006年) 国内登録




以前弊社で販売させていただいた「シーザー認定中古車」




前回販売させていただいたのは、平成26年のこと、、




この時は、「元・陛下のメカニック」に1年ほど掛けて整備していただいた。




その後もメンテナンスも弊社ファクトリーで担当し、いまでも、まるで普通に




運転できる。



一番最後の章で、ご説明させていただく「メカニカル・サーボ」の説明や、




それにともなう注意などなくても、ブレーキは普通に効く。









当「S1」は、同じ「S1」の中でも都合の好い1台である。




まず、「パワステ」のオプションはありがたいし、



サンデン製コンプレッサー・クーラー(吊り下げ式ではなく吹出し口の造作




も凝っている)、大型電動ファン、発電機は発電量の多い交流オルタネーター



に交換済み、、パワーウインドこそないが、むしろ、それも安心材料と



捉えたほうが良い。








「クラウド」系モデルもまた、ハンドメイドで作られている。



開閉部(ドア4枚・ボンネット・トランク・給油口)は、「アルミ」製だ。



使われてる「ウッド」は1台づつ 違う「模様」を見せる。




このウッド、当「シリーズ1」が一番豪華なのは、秘密だ。










外装:「パール・アイボリー」&「シルバーメタリック」コンビカラー




お洒落




クラウド系モデルは、コンビカラーが好く似合うし、当時の流行でもあった。




もち、オリジナル塗装ではない。



オリジナルの「ラッカー」塗料は、現代まで持たないし、その昔、この手の




高級車を購入した方は、オーナーが変わる度に、好きな色に塗り替える




ってのがスタンダードな金持ち流だった。




どのみち、100%誰かがオールペイントして後世に残す必要があったわけだが



それも、「ウレタン鏡面塗装」にするのがベストだ。



それなら、塗装の耐久性、管理の容易さ、艶、ともに問題がない。



当個体は、すでに施し済み。



次のオーナーは、塗装代金、数百万円の費用を捻出する必要が無い。








当個体の「車検証」上の全長は、「538cm」とある。




これは、SZ系ロングホイール・ボディと同じサイズだ。 伝統か、、。



車高が高いから、デカく見えるが、そんなことはない。



538cmの内、10cmは、前後の猫足型オーバーライダー飛び出し分。











内装:「バーガンディ」・レザー





外装と同じように、レストア済み。




総張替えしている。おそらくは英国仕事であろう。




その仕事は、オリジナルに忠実で、丁寧だ。



カーペットも天井裏も張り替えている。





ウッドもレストア済み、おそらくは、内装レストア時に合わせてリペアされた



のであろうが、今尚、美しい艶を保つ。





これは、大変な費用を要する。



やはり、車は、自分でレストアしようなどと思わず、完成品を買うに限る。



弊社では、今現在も30台ほどレストア中〜な在庫車があるが、、




要す日数は軽く数年単位、要す費用は多くの場合、ボランティア活動となる。




一般の方が レストアなどするものでない。













極端に細身のステアリングを握れば、1956年の世界にトリップできる。



当時、この車を新車で 購入できた日本人はいなかったはずだが、



今でも当時と同じ性能を保つ当個体であれば、新車に乗るのもかわらない。




走り出す、、セル一発、オートチョークだから、テクは要らない。




ステアリングの持ち手は、4時40分が基本、、白鳥の足のごとく、外からは




優雅に だ。




タイヤは、当時のバイアスからラジアルに履き替えてあるから、当時のように



ハンドルを路面凸凹に取られることもない。




アクセルを踏み込む、、




「Rタイプ・コンチ」の4.9Lと同じフィーリング、、すごい!




なんにも困ることはない。 車として、すでに完成形だ。




売値と車のクォリティが 釣り合わない。




不当に安価といえる。




「Rタイプ・コンチ」は、すでに高額過ぎて お薦めできないほどだが、




当「S1」は、お薦めできる。





こいつは、本当に いい、、。











まずは、写真68枚を ご参考に ↓





*機関系の解説は 一番最後に 







 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 



エンジンは、ロールス社・直列6気筒エンジン





4887cc これが、ロールス製・直6の最終進化系。



ロールス&ベントレーが「静か」だったのは、このエンジンまでのこと。




この後の「V8」は、決して静かなエンジンではなく、逆に、エンジン音を楽しむべき



モデルだ。






この時代はオプション装備だった、パワーステアリング付き。




ロールス社・自社研磨の「4速AT」の頑丈さはハンパじゃない。




ロールス社ってのは、航空機のタービンを代表するように、研磨技術に特化している。



だから、エンジンも壊れない。




その後(1968年から)採用する「GM400」の「3速AT」は、コストダウンの為だ。




サスペンションは、フロントが、コイル・スプリングのダブル・ウィッシュボーン、




リアが、リーフリジット、所謂、板バネだ。



この古典的な足回りが もたらしてくれるのが、本当のロールス・クラシックの世界だ










この時代に 早くも サスの硬さも調整ができる。



ハンドルポスト左脇にスイッチがあり、ノーマルとハイ(高速走行時などで利用)を切



り替えられる。





クラウドのメカニズムで、特筆すべきは、ブレーキ廻りであろう。



4輪ともに、ドラム・ブレーキではあるが、前輪の油圧系パーツは、「ロッキード」製、



後輪パーツには、「ガーリング」製のものが使用されている。





更に、これに、「メカニカル・サーボ・ブレーキ」




機能が加わる。




戦前の名車「イスパノ・スイザ」が特許をもつ、「メカニカル・サーボ」、、、



ロールス社は、1925年のファンタム1から採用している。



国内各所で行なわれているクラシックカー・ラリーやフェスティバルに戦前のロールス



が、まるで普通に参加して走行しているが、それは、このブレーキシステムの恩恵によ



るところも大きい。



このシステムは、エンジンの回転(ドライブシャフトの回転)からパワーを取り出し、



ブレーキの効きを増大(アシスト)するもので、簡単に言ってしまえば、パワーブレー



キだ。



よってドライブシャフト回転数が高い(走行速度が速い)ほどアシスト力は増大する。




シャドウ以降に採用されるシトロエン特許のハイドロとは、まったくシステムが異なる








私個人の感想だが、当個体が日本に持ち込まれたバブル期ごろ、このブレーキシステム




を多くの日本人メカニックは、完全には理解していなかったのではなかろうかと思う。




「クラウド系」モデルを新車で購入できた日本人は ほとんど聞いた事がないほどだが



バブル景気(89年〜91年)のころには、多くの中古車が日本に輸入されてきた。



ついに日本にも「クラウド文化」が持ち込まれたわけだ。





それ以前は、クラウドのブレーキは、効きが甘くて普通、、なんていっていたものだ。



これが、バブル景気のお陰で、多くのクラウドを含むクラシック・ロールスが海外から



輸入され、メカニックも数多くの個体の整備が出来るようになった・・・




お陰で当社でも完全に整備できるようになった。




正しく整備されたクラウドのブレーキは、まったく恐いものではない。普通に乗れる。



ご納車時には、メカニカル・サーボのシステムの説明と実際に走行した上で、その特性



を体感していただいておくと、いっそう普通に乗れる。





当個体、「シーザー認定号」だが、、とはいえ、当個体、売約後は、一から怒涛の 




点検・整備を施す。




凄腕メカが揃う自慢の「シーザー・ファクトリー」無料整備、これ以上の安心材料は、




世界にない。







元気なうちに 乗っておいたほうが良い。



安価なうちに 乗っておいたほうが良い。




「クラウド系」モデルを乗らずして ロールス&ベントレーの世界は語れない。




その「世界」は限りなく深い。




そして、それも、この世界の まだほんの入り口に過ぎない。